「2次元の内積の幾何学的な性質」の版間の差分
提供: tknotebook
								
												
				| (1人の利用者による、間の3版が非表示) | |||
| 1行: | 1行: | ||
| [[Category:数学]][[Category:線形代数]][[category:回転]] | [[Category:数学]][[Category:線形代数]][[category:回転]] | ||
| − | [[メインページ]]>[[数学の部屋 | + | [[メインページ]]>[[数学の部屋#回転]] | 
| − | 2次元の内積の定義は簡単です。<math>{\boldsymbol a}=(a_1 | + | 2次元の内積の定義は簡単です。<math>{\boldsymbol a}=(a_1, a_2) </math>、<math>{\boldsymbol b}=(b_1, b_2) </math> とすると内積は | 
| + | |||
| {{eqn|<math> | {{eqn|<math> | ||
| 	{\boldsymbol a}\cdot {\boldsymbol b}=a_1b_1+a_2b_2 | 	{\boldsymbol a}\cdot {\boldsymbol b}=a_1b_1+a_2b_2 | ||
| </math>|1}} | </math>|1}} | ||
| + | |||
| この単純な定義からは信じられないことですが、内積には非常に美しい幾何学的な性質があります。 | この単純な定義からは信じられないことですが、内積には非常に美しい幾何学的な性質があります。 | ||
| 17行: | 19行: | ||
| <math>{\boldsymbol a} = (r_a\cos\alpha, r_a\sin\alpha)</math>、<math>{\boldsymbol b} =   | <math>{\boldsymbol a} = (r_a\cos\alpha, r_a\sin\alpha)</math>、<math>{\boldsymbol b} =   | ||
| (r_b\cos\beta, r_b\sin\beta)</math> となります。従って内積は | (r_b\cos\beta, r_b\sin\beta)</math> となります。従って内積は | ||
| + | |||
| {{eqn|<math> | {{eqn|<math> | ||
| 23行: | 26行: | ||
| 	r_a r_b(\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta) | 	r_a r_b(\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta) | ||
| </math>|2}} | </math>|2}} | ||
| + | |||
| となります。どこかで見た形ですよね? そう、角度の加法定理です。'''[[角度の加法定理]]'''で | となります。どこかで見た形ですよね? そう、角度の加法定理です。'''[[角度の加法定理]]'''で | ||
| 紹介した定理を符号を注意して当てはめると、内積は | 紹介した定理を符号を注意して当てはめると、内積は | ||
| + | |||
| {{eqn|<math> | {{eqn|<math> | ||
| 	{\boldsymbol a}\cdot{\boldsymbol b} = r_a r_b\cos(\beta-\alpha) | 	{\boldsymbol a}\cdot{\boldsymbol b} = r_a r_b\cos(\beta-\alpha) | ||
| </math>|3}} | </math>|3}} | ||
| + | |||
| という単純かつ美しい式に変身します。式中に現れる <math>\beta-\alpha</math> はベクトル <math>\boldsymbol a</math> と <math>\boldsymbol b</math> がなす角度です。 | という単純かつ美しい式に変身します。式中に現れる <math>\beta-\alpha</math> はベクトル <math>\boldsymbol a</math> と <math>\boldsymbol b</math> がなす角度です。 | ||
2015年8月5日 (水) 05:24時点における最新版
2次元の内積の定義は簡単です。 、
、 とすると内積は
 とすると内積は
|   | ( 1 ) | 
この単純な定義からは信じられないことですが、内積には非常に美しい幾何学的な性質があります。
ベクトル  と
 と  を図のようにベクトルの長さと偏角
 を図のようにベクトルの長さと偏角  、
、 で、表すと、
それぞれのベクトルの
 で、表すと、
それぞれのベクトルの  、
、  成分は
 成分は
 、
、 となります。従って内積は
 となります。従って内積は
|   | ( 2 ) | 
となります。どこかで見た形ですよね? そう、角度の加法定理です。角度の加法定理で
紹介した定理を符号を注意して当てはめると、内積は
|   | ( 3 ) | 
という単純かつ美しい式に変身します。式中に現れる  はベクトル
 はベクトル  と
 と  がなす角度です。
つまり、内積はベクトル
 がなす角度です。
つまり、内積はベクトル  と
 と  が同じ向きの時
 が同じ向きの時  となり、正のもっとも大きな値になります。
 となり、正のもっとも大きな値になります。
 と
 と  が垂直の時
 が垂直の時  になります。
 になります。
次ページ 回転行列と複素数の積 へ

