「オイラー角」の版間の差分

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これで、<nowiki>Z''軸</nowiki>(<math>{\boldsymbol e^{''}_3}</math>)の向きが定まります。<nowiki>Z''軸</nowiki>の向きは、xyz座標系において、<math>\phi</math>と<math>\theta</math>で表される極座標のベクトルの向きと一致しています。
 
これで、<nowiki>Z''軸</nowiki>(<math>{\boldsymbol e^{''}_3}</math>)の向きが定まります。<nowiki>Z''軸</nowiki>の向きは、xyz座標系において、<math>\phi</math>と<math>\theta</math>で表される極座標のベクトルの向きと一致しています。
  
Z-Y-Z オイラー角では、最後に、<nowiki>Z''軸</nowiki>(<math>{\boldsymbol e^{''}_2}</math>)を軸の正方向に対して右に <math>\psi</math>だけ回します。こうして得られた新しい座標系の座標軸の方向ベクトルが <math>{\boldsymbol e^{'''}_1}</math>, <math>{\boldsymbol e^{'''}_2}</math>, <math>{\boldsymbol e^{'''}_3}</math>です。
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Z-Y-Z オイラー角では、最後に、<nowiki>Z''軸</nowiki>(<math>{\boldsymbol e^{''}_3}</math>)を軸の正方向に対して右に <math>\psi</math>だけ回します。こうして得られた新しい座標系の座標軸の方向ベクトルが <math>{\boldsymbol e^{'''}_1}</math>, <math>{\boldsymbol e^{'''}_2}</math>, <math>{\boldsymbol e^{'''}_3}</math>です。
  
 
この<math>{\boldsymbol e^{'''}_1}</math>, <math>{\boldsymbol e^{'''}_2}</math>, <math>{\boldsymbol e^{'''}_3}</math>がオイラー角による回転後の座標系の座標軸の方向ベクトルです。
 
この<math>{\boldsymbol e^{'''}_1}</math>, <math>{\boldsymbol e^{'''}_2}</math>, <math>{\boldsymbol e^{'''}_3}</math>がオイラー角による回転後の座標系の座標軸の方向ベクトルです。

2015年6月13日 (土) 15:58時点における版

メインページ>数学の部屋>回転

座標の回転を表現する方法には様々な方法がありますが、座標軸を3回回転させるオイラー角が最もポピュラーな方法です。 オイラー角には、回す座標軸の順番によって12種類のバリエーションがあります。飛行機の姿勢を示すのに用いられ、z, y, x軸の順に座標軸を回転させるヨー・ピッチ・ロールは非常に有名ですが(航空業界で用いられているものは、角度の符号が異なります)、ここでは物理で剛体の回転の説明などで使われる Z-Y-Z オイラー角を説明します。

オイラー角.png

物理や数学で、Z-Y-Z オイラー角が用いられる理由の一つとしてあげられるのは、Z軸の倒し方が、3次元極座標のやり方と一致している点でしょう。

図中の方向ベクトル{\boldsymbol e_1}, {\boldsymbol e_2}, {\boldsymbol e_3}は、座標系の回転を行う前の座標系 xyz座標系の、x, y, z軸の方向ベクトルです。

Z-Y-Z オイラー角では、まず、z軸({\boldsymbol e_3})を軸の正方向に対して右に \phiだけ回します。こうして得られた新しい座標系の座標軸の方向ベクトルが {\boldsymbol e^{'}_1}, {\boldsymbol e^{'}_2}, {\boldsymbol e^{'}_3}です。

Z-Y-Z オイラー角では、次に、Y'軸({\boldsymbol e^{'}_2})を軸の正方向に対して右に \thetaだけ回します。こうして得られた新しい座標系の座標軸の方向ベクトルが {\boldsymbol e^{''}_1}, {\boldsymbol e^{''}_2}, {\boldsymbol e^{''}_3}です。

これで、Z''軸({\boldsymbol e^{''}_3})の向きが定まります。Z''軸の向きは、xyz座標系において、\phi\thetaで表される極座標のベクトルの向きと一致しています。

Z-Y-Z オイラー角では、最後に、Z''軸({\boldsymbol e^{''}_3})を軸の正方向に対して右に \psiだけ回します。こうして得られた新しい座標系の座標軸の方向ベクトルが {\boldsymbol e^{'''}_1}, {\boldsymbol e^{'''}_2}, {\boldsymbol e^{'''}_3}です。

この{\boldsymbol e^{'''}_1}, {\boldsymbol e^{'''}_2}, {\boldsymbol e^{'''}_3}がオイラー角による回転後の座標系の座標軸の方向ベクトルです。

この回転で、元の座標軸の方向ベクトル{\boldsymbol e_1}, {\boldsymbol e_2}, {\boldsymbol e_3}を回転後の座標系の座標軸の方向ベクトル{\boldsymbol e^{'''}_1}, {\boldsymbol e^{'''}_2}, {\boldsymbol e^{'''}_3}へ移す行列は


\begin{array}{lll}
R_{euler}(\phi, \theta, \psi) = R^{(z)}(\psi) R^{(Y)}(\theta) R^{(z)}(\phi) \\
=
\left( \begin{array} {ccc} 
\cos\psi & \sin\psi & 0 \\
-\sin\psi & \cos\psi & 0 \\
0 & 0 & 1
\end{array}\right)  

\left( \begin{array} {ccc} 
\cos\theta & 0 & -\sin\theta \\
0 & 1 & 0 \\
\sin\theta & 0 & \cos\theta \\
\end{array}\right)

\left( \begin{array} {ccc} 
\cos\phi & \sin\phi & 0 \\
-\sin\phi & \cos\phi & 0 \\
0 & 0 & 1
\end{array}\right) \\ 

=

\left( \begin{array} {ccc} 
\cos\phi\cos\theta\cos\psi-\sin\phi\sin\psi & \sin\phi\cos\theta\cos\psi+cos\phi\sin\psi & -\sin\theta\cos\psi \\
-cos\phi\cos\theta\sin\psi-\sin\phi\cos\psi & -\sin\phi\cos\theta\sin\psi+\cos\phi\cos\psi & \sin\theta\sin\psi \\
\cos\phi\sin\theta & \sin\phi\sin\theta & \cos\theta
\end{array}\right)

\end{array}
( 1 )
{\boldsymbol e^{'''}_i}=\sum_{j=1}^3R_{euler}(\phi, \theta, \psi)_{ij}{\boldsymbol e_j} ( 2 )

になります(R_{euler}(\phi, \theta, \psi)_{ij}R_{euler}(\phi, \theta, \psi)ij列の要素)。

座標系 {\boldsymbol e^{'''}_1}, {\boldsymbol e^{'''}_2}, {\boldsymbol e^{'''}_3} でのベクトル{\boldsymbol A}の成分\left( \begin{array} {c} A^{'''}_1 \\ A^{'''}_2 \\ A^{'''}_3\end{array}\right)を 座標系 {\boldsymbol e_1}, {\boldsymbol e_2}, {\boldsymbol e_3}の成分\left( \begin{array} {c} A_1 \\ A_2 \\ A_3\end{array}\right)へ変換する式は、R_{euler}(\phi, \theta, \psi)の逆行列(=転置)を使って

 
\left( \begin{array} {c} A_1 \\ A_2 \\ A_3\end{array}\right) =
{}^t\!R_{euler}(\phi, \theta, \psi)
\left( \begin{array} {c} A^{'''}_1 \\ A^{'''}_2 \\ A^{'''}_3\end{array}\right)
( 3 )

となります。