座標変換と回転

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座標系の定義

座標というのは空間上に定められた目盛のというか定規のようなものと考えてよいでしょう。ここではデカルト座標(直交座標)に話を絞ります。

デカルト座標では基準となる原点と、X, Y, Z方向を下の図のように定めます。

座標系の定義.png

図の点Oが座標の原点を表します。{\boldsymbol e_1}, {\boldsymbol e_2}, {\boldsymbol e_3}は、x軸, y軸, z軸の方向を表す方向ベクトル(単位ベクトル)で、デカルト座標なので互いに直交しています。{\boldsymbol e_3}は、{\boldsymbol e_1}が回転して{\boldsymbol e_2}に向くとき、その回転に対して右ネジの方向に定めます。これを「右手系」といいます・

デカルト座標上での点の位置 {\boldsymbol r}座標値(成分)

{\boldsymbol r}=A_1{\boldsymbol e_1}+A_2{\boldsymbol e_2}+A_3{\boldsymbol e_3} ( 1 )

と定義します。つまり、A_i = {\boldsymbol r}\cdot{\boldsymbol e_i} という関係になります。

え!点O や、{\boldsymbol e_1}, {\boldsymbol e_2}, {\boldsymbol e_3} はどういう座標系を使って定義するんだって? それは神様が定義した座標があるとしましょう。だって、座標系の定義に座標系が必要だと、話が永遠に終わらないからです(^^;

座標軸の方向ベクトルの変換

次に原点が一致する2つの異なるデカルト座標系の座標変換を考えます。

座標軸の方向ベクトルの変換.png

図には xyz座標系と x'y'z' 座標系の2つが示されているが {\boldsymbol e_1}, {\boldsymbol e_2}, {\boldsymbol e_3} が xyz座標系の座標軸の方向ベクトルを、{\boldsymbol e^'_1}, {\boldsymbol e^'_2}, {\boldsymbol e^'_3} が x'y'z'座標系の座標軸の方向ベクトルを表しています。

R_{ij} = {\boldsymbol e^'_i}\cdot{\boldsymbol e_j} ( 2 )

とし、x'y'z' 座標系の座標軸の方向ベクトル{\boldsymbol e^'_1}, {\boldsymbol e^'_2}, {\boldsymbol e^'_3}xyz座標系の成分で表すと、

{\boldsymbol e^'_1}=R_{11}{\boldsymbol e_1}+R_{12}{\boldsymbol e_2}+R_{13}{\boldsymbol e_3} ( 3 )
{\boldsymbol e^'_2}=R_{21}{\boldsymbol e_1}+R_{22}{\boldsymbol e_2}+R_{23}{\boldsymbol e_3} ( 4 )
{\boldsymbol e^'_3}=R_{31}{\boldsymbol e_1}+R_{32}{\boldsymbol e_2}+R_{33}{\boldsymbol e_3} ( 5 )

これは以下のように略記できます。

{\boldsymbol e^'_i}=\sum_{j=1}^3R_{ij}{\boldsymbol e_j} ( 6 )

この R_{ij} は座標系の座標軸方向ベクトルを別の座標軸方向ベクトルへ移す変換行列です。R_{ij}は x'y'z座標系の座標軸の方向ベクトルを xyz座標系の成分で表したものですから、各行ベクトルの大きさは1であり、各列ベクトルは互いに直交することは明らかでしょう。また逆変換は ijを入れ替えた、つまり転置になることは明らかなので

{}^t\!R=R^{-1} ( 6 )

になります。

ベクトル {\boldsymbol A} を2つの座標系の成分で表すと

{\boldsymbol A}=\sum_{j=1}^3A^'_j{\boldsymbol e^'_j}=\sum_{j=1}^3A_j{\boldsymbol e_j} ( 7 )

両辺に {\boldsymbol e^'_i} をかけると

A^'_i=\sum_{j=1}^3({\boldsymbol e^'_i}\cdot{\boldsymbol e_j})A_j = \sum_{j=1}^3R_{ij}A_j ( 8 )

つまり、行列R_{ij}は xyz座標系での座標の成分をx'y'z'座標系の成分に変換する行列でもあります。